数年前の秋のことですが、朝のスタイリング中に鏡に映った自分の顔を見て、以前よりも明らかに前髪が薄いことに気づき、そこから私の心は一気に深い霧の中に迷い込んだような絶望感に包まれました。分け目が白く目立ち、光の加減によっては地肌が透けて見える現実を受け入れられず、風が吹くたびに手で前髪を押さえたり、電車の窓に映る自分のシルエットを確認しては落ち込んだりと、それまで当たり前だった外出が恐怖の対象へと変わってしまったのです。最初は市販の育毛剤を片っ端から試し、高価なシャンプーに変えてみましたが、期待したほどの即効性は現れず、逆に焦りからくるストレスで抜け毛が増えるという悪循環に陥り、一時は誰とも会いたくないとさえ思うほど追い詰められていました。そんな私を救ってくれたのは、同じ悩みを持つ友人から紹介された専門のカウンセリングで、そこで「前髪の状態は今のあなたの生き方の鏡だよ」と言われ、これまでの無理な働き方や乱れた食生活、そして自分を追い詰める完璧主義な性格が、すべて髪に現れていたことに気づかされたのです。そこから私は、まず自分の身体を労わることから始め、毎晩の入浴時にはゆっくりと深呼吸をしながら硬くなった頭皮を解し、鉄分や亜鉛を意識した食事を楽しみながら摂るように心がけたところ、半年ほど経った頃に鏡の中に映る自分の前髪に、以前のような力強いコシが戻り始めているのを発見しました。髪の変化は劇的なものではありませんでしたが、一本一本が太くなることで地肌の透け感が気にならなくなり、何よりも自分を大切に扱っているという感覚が内面からの自信を呼び起こし、周囲からの視線を過剰に恐れることがなくなっていたのです。前髪が薄いという悩みは確かに辛い経験でしたが、それをきっかけに自分の心と身体の声を聞く大切さを学べたことは、今の私にとってかけがえのない財産となっており、かつての私のように鏡の前で立ち尽くしている人がいるなら、どうか一人で抱え込まずに自分を許し、小さな一歩からケアを始めてほしいと心から願っています。