ある朝、洗面所の強い照明の下で髪をセットしようとした瞬間、いつもよりおでこが広く見えるだけでなく、前髪の隙間から地肌が白く透けていることに気づき、私は心臓が凍りつくような衝撃と共にある種の絶望感を味わいました。それまでは自分の髪がなくなるなど他人事だと思っていましたが、一度気になり始めると外出先でのショーウィンドウに映る姿や、エスカレーターで後ろに立つ人の視線までもが自分の生え際に注がれているような被害妄想に陥り、それまで楽しかった友人との交流も億劫になり、いつの間にか帽子を手放せない生活が始まっていました。最初は誰にも相談できず、ネットで見つけた怪しげな育毛剤を片っ端から試しては、翌朝の排水溝に残る抜け毛の数に一喜一憂する日々を過ごしていましたが、数ヶ月経っても一向に改善の兆しが見えない現実に、私はこのままではいけないと一念発起し、専門のカウンセリングを受ける決断をしたのです。そこで告げられたのは、私の薄毛は進行性のAGAであり、自己流のケアでは限界があるという厳しい現実でしたが、同時に適切な治療と生活習慣の改善を組み合わせれば、まだ回復の余地があるという希望の光でもありました。それからの私は、医師の指導のもとで医学的なアプローチを開始するとともに、それまでの乱れた食生活を改めてタンパク質やビタミンを豊富に摂るようにし、さらに寝る前のスマホを控えて深い眠りを確保することに全力を注ぎました。変化は劇的ではありませんでしたが、三ヶ月を過ぎた頃から産毛のような細い毛が力強く芽吹き始め、半年が経つ頃には以前のようなスカスカ感がなくなり、髪に確かなコシが戻っているのを実感した時の喜びは言葉では言い表せません。この経験を通じて私が学んだのは、悩みから目を逸らさずに正しい知識を持つ専門家の力を借りることの重要性と、自分自身の身体をいたわる習慣がいかに髪の毛、ひいては自分自身の自尊心に直結しているかということであり、今ではあの時の絶望を乗り越えたからこそ、自分を大切にする本当の意味を知ることができたと感じています。