私は長年の理容師生活の中で多くのお客様にシャンプーを施してきましたがそこで培った技術は家庭でも十分に応用可能です。至高の洗髪とは単に汚れを落とすことではなく頭皮という生命の畑を耕す作業だと心得てください。まず最初に行うべきは髪を濡らす前の乾いた状態での頭皮マッサージです。これにより緊張して強張った頭皮が緩み毛穴が開きやすくなります。そして予洗いです。単に濡らすのではなく指の腹を頭皮に密着させてお湯だけで地肌を洗うイメージで最低二分は続けてください。これだけでシャンプーの泡立ちが劇的に良くなり使う量も半分で済みます。本番のシャンプーでは泡を頭の上で大きく回すように広げた後耳の後ろから頭頂部へ、襟足から頭頂部へと血液を心臓へ戻すような流れを意識して手を動かします。これを静脈マッサージ洗顔と呼んでいますが血流が改善されることで頭皮の温度が上がり酸素や栄養が行き渡りやすくなります。次に指先を細かく小刻みに動かして毛穴の汚れを優しく浮き上がらせます。このとき頭皮が動いていることを実感してください。頭皮が動かない場所は凝り固まっている証拠ですので念入りにほぐします。そしてプロが最も時間をかけるのがすすぎです。シャワーヘッドを地肌に近づけ髪をかき分けながらお湯をダイレクトに頭皮に当てます。一箇所につき十秒以上はかけ、これを頭全体で行います。最後は冷水で軽く引き締めるのも一つのテクニックです。急激な温度変化が自律神経に刺激を与え頭皮の引き締めと血行促進を促します。お風呂上がりはすぐにドライヤーで乾かしてください。頭皮が湿ったまま放置されると雑菌の温床となり臭いや痒みの原因となります。温風で頭皮を中心に乾かし最後に冷風で仕上げることでキューティクルも整いツヤが出ます。こうした一連の所作を丁寧に行うことは自分自身を丁寧に扱うという精神的な充足感にもつながります。至高の洗髪技術は特別な道具を必要としません。必要なのは自分の指先の感覚と頭皮をいたわる優しい心です。毎日のシャンプーをこのレベルに引き上げることであなたの頭皮は必ず若々しく蘇り、力強い髪を育む力強い土台へと生まれ変わるでしょう。