私が、AGA治療のために、フィナステリドの服用を始めたのは、30代の終わりのことでした。クリニックで、医師から副作用について説明を受けた時、正直なところ、「性欲減退」や「ED」といった言葉に、強い抵抗と不安を感じたのを、今でも覚えています。「もし、そうなってしまったらどうしよう」。しかし、日に日に薄くなっていく髪へのコンプレックスは、それ以上に深刻でした。私は、意を決して、治療を開始しました。最初の数ヶ月は、自分の体に、何か変化が起きるのではないかと、毎日、過敏になっていました。少しでも体の調子が悪いと、「これは、薬のせいじゃないか?」と疑心暗鬼になったり、パートナーとの性生活においても、「もし、うまくいかなかったら…」という、余計なプレッシャーを感じたり。今思えば、薬の副作用そのものよりも、副作用に対する「不安」の方が、よほど大きなストレスだったように思います。幸いなことに、私の場合は、服用を続けても、性機能に関する、明確な副作用が現れることはありませんでした。むしろ、治療が進み、抜け毛が減り、髪の状態が改善していくにつれて、自分の見た目に対する自信が回復し、精神的には、以前よりも、はるかに前向きで、活動的になったと感じています。ただ一つ、私が経験した、おそらく副作用であろうと思われる変化は、「精液の量が、少し減った」ということです。しかし、これも、日常生活に支障をきたすようなレベルではなく、医師に相談したところ、「よく見られる変化であり、健康上の問題はない」とのことでした。そして、治療開始から数年後、子供を授かることを考えたタイミングで、医師と相談の上、一時的に、服用を休止したこともあります。薬をやめて数ヶ月後には、精液の量も、元の状態に戻ったように感じました。AGA治療は、確かに、副作用のリスクと、隣り合わせの治療です。しかし、私の経験から言えるのは、そのリスクを、過度に恐れる必要はない、ということです。
AGA治療の副作用、私の体験談