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デュタステリドの副作用、フィナステリドとの違い
「デュタステリド(代表的な商品名:ザガーロ)」は、フィナステリドと同様に、5αリダクターゼという酵素を阻害することで、AGAの進行を抑制する内服薬です。しかし、デュタステリドは、フィナステリドよりも、さらに強力に、そして広範囲に、脱毛ホルモンDHTの生成をブロックする作用を持っています。そのため、より高い発毛効果が期待される一方で、副作用のリスクも、フィナステリドに比べて、わずかながら高まる可能性が指摘されています。デュタステリドの副作用の主な内容は、フィナステリドと、ほぼ共通しています。すなわち、「性欲減退」「勃起機能不全(ED)」「射精障害」といった、男性機能に関するものが中心です。そして、頻度は極めて稀ですが、「肝機能障害」のリスクも同様に存在します。では、フィナステリドとの違いは、どこにあるのでしょうか。それは、副作用の「発生頻度」です。大規模な国際共同試験のデータによれば、例えば、性欲減退の発生頻度は、フィナステリドが約1.8%であったのに対し、デュタステリドでは約3.9%と、約2倍高いという結果が報告されています。勃起機能不全についても、同様に、デュタステリドの方が、発生頻度が高い傾向が見られます。これは、デュタステリドが、フィナステリドが作用しない「1型」の5αリダクターゼも阻害し、血中のDHT濃度を、より強力に低下させることと、関連していると考えられています。ただし、これらの発生頻度は、あくまで統計上の数値であり、デュタステリドを服用したからといって、必ずしも副作用が強く出るわけではありません。むしろ、ほとんどの人は、何の問題もなく、その高い効果の恩恵を受けています。重要なのは、フィナステリドよりも、効果が高い分、副作用のリスクも、わずかに上昇するという事実を、治療選択の際に、正しく認識しておくことです。そして、医師と相談の上で、自分にとって、効果とリスクのバランスが、最も適している治療薬を選択することが、何よりも大切になります。