男性型脱毛症、すなわちAGAの治療において、世界中で最も広く処方されている内服薬が「プロペシア(一般名:フィナステリド)」です。この薬は、薄毛の進行を食い止める上で、非常に高い効果が期待できる一方で、その効果を最大限に引き出し、かつ安全に使用するためには、守るべき、いくつかの基本的な「飲み方」のルールが存在します。プロペシアの服用における、最も重要なルールは、ただ一つ。「毎日、決まった時間に、1錠を服用し、それを継続すること」。この、シンプルでありながら、極めて重要な原則を、治療を開始する前に、深く理解しておく必要があります。プロペシアは、1日1回、1mgの錠剤を服用するのが、基本的な用法・用量です。AGAの原因物質である、脱毛ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」の生成を、体内で抑制することで、その効果を発揮します。しかし、薬の成分は、服用後、約24時間で、そのほとんどが体外へ排出されてしまいます。そのため、毎日、決まった時間に服用し、血中の薬物濃度を、常に一定のレベルに保ち続けることが、DHTの生成を、24時間、継続的にブロックし、安定した効果を得るための、絶対条件となるのです。飲む時間は、朝でも、夜でも、生活スタイルに合わせて、自分が最も忘れにくい時間を設定すれば問題ありません。例えば、「毎朝、朝食後に飲む」「毎晩、寝る前に飲む」といったように、日々のルーティンと結びつけておくと、飲み忘れを防ぎやすくなります。また、プロペシアは、食事の影響を受けないため、食前、食後、いずれのタイミングで服用しても、その効果に変わりはありません。多く飲んだからといって、効果が高まるわけでは、決してありません。むしろ、副作用のリスクを高めるだけです。定められた用法・用量を、毎日、愚直に守り続けること。この地道な継続こそが、AGAという手強い敵に打ち勝つための、唯一にして、最強の戦略なのです。
プロペシアの正しい飲み方、基本のルール